もうすぐ子供が生まれるし、チャイルドシートどうしよう?
安全なものを選びたいけど、基準はあるの?
そんな疑問に答えます。
- チャイルドシートの安全性基準が理解できる
- チャイルドシートの選び方がわかる
チャイルドシートは子供を守るために必須
チャイルドシートは自動車事故から子供を守るためには必須です。
なぜなら、自動車のシートベルトは大人の利用を想定して各種試験を実施しているので、子供がシートベルトを着用した場合、効果を得られるどころか逆に危険です。
いつまでチャイルドシートを使った方が良いのかについては、下記の記事が詳しいです。
上記記事のように、子供の身長が150cmになるまではチャイルドシートなどを設置した方が安全です。
成長曲線で見ると、子供の身長が平均150cmを超えてくるのは12歳ころです。(参考:日本小児内分泌学会の標準身長・体重曲線)
なので、大体小学生以下の子供を車に乗せる際は、シートベルトをそのまま利用できない、と考えた方が良いですね。
また、稀にチャイルドシートを利用せず、大人が幼児を抱っこして車に乗っているケースがありますが、危険ですので避けた方が良いですね。仮に時速40kmで事故を起こしたと想定すると、その時の2階建ビルの高さから落ちた衝撃と同じと言われています。(時速40キロの衝撃力と時速60キロの衝撃力の違いがイメージできる方法)
幼児の体重は新生児で3−4kg、1歳児では約10kgになります。車での移動中、常に事故に備えてしっかりと抱っこし続けるというのは現実的ではないと思います。(ちなみに、人体は人体そのものへの破壊がなければ1000km/hでの衝突にも耐えられるそうです。)
また、自分は運転に自信があるので大丈夫、と思っていても、他の車が衝突してくる、「もらい事故」を本人の運転技術だけで防ぐのには限界がありますよね。
というわけで、子供を車に乗せる際は、自動車事故から子供を守るためにチャイルドシートが必要となります。
関連した法律は?違反した場合は?
道路交通法では、以下の通り、6歳未満の子供をチャイルドシートを使用しないで乗車させることは禁止されています。
(幼児の年齢については道路交通法第14条第3項に記載があり、「6歳未満の者」となります)
自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
違反した場合は、シートベルトの違反と同じで、1点減点となります。(道路交通法施行令別表第二の「幼児用補助装置使用義務違反」を参照)反則金はありませんが、ゴールド免許の方は次の免許更新のタイミングでブルー免許となりますのでご注意ください。
ただし、以下の通り、例外事項もいくつかあります。
一 その構造上幼児用補助装置を固定して用いることができない座席において幼児を乗車させるとき(当該座席以外の座席において当該幼児に幼児用補助装置を使用させることができる場合を除く。)。
二 運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第五十七条第一項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)。
三 負傷又は障害のため幼児用補助装置を使用させることが療養上又は健康保持上適当でない幼児を乗車させるとき。
四 著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に幼児用補助装置を使用させることができない幼児を乗車させるとき。
五 運転者以外の者が授乳その他の日常生活上の世話(幼児用補助装置を使用させたままでは行うことができないものに限る。)を行つている幼児を乗車させるとき。
六 道路運送法第三条第一号に掲げる一般旅客自動車運送事業の用に供される自動車の運転者が当該事業に係る旅客である幼児を乗車させるとき。
七 道路運送法第七十八条第二号又は第三号に掲げる場合に該当して人の運送の用に供される自動車(特定の者の需要に応じて運送の用に供されるものを除く。)の運転者が当該運送のため幼児を乗車させるとき。
八 応急の救護のため医療機関、官公署その他の場所へ緊急に搬送する必要がある幼児を当該搬送のため乗車させるとき。
チャイルドシートの安全基準
チャイルドシートは、法律上は「年少者用補助乗車装置」と呼ばれ、以下の通り、「道路運送車両の保安基準」で安全基準が決められています。
年少者用補助乗車装置の構造、操作性能等に関し保安基準第22条の5第3項の告示で定 める基準は、協定規則第129号の技術的な要件(同規則第3改訂版補足第4改訂版の規則4.、 6.及び7.に限る。第110条において同じ。)に定める基準とする。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2020.12.25】 第32条(年少者用補助乗車装置等)
「協定規則第129号」とは、国連欧州経済委員会(UNECE)で策定された規則129号(UN Regulation No. 129)のことを指していて、原文はUNECEのサイトに記載があります。日本語訳は国交省のサイトに記載があります。
本サイトでは、以下、UN Regulation No. 44を「R44」、UN Regulation No. 129を「R129」と略します。
旧基準(R44)と新基準(R129)が共存していますが、国内では、保安基準の改正により、今後はR129に準拠することが求められているようです。
UN Regulation No. 129は通称「i-Size規則」と呼ばれています。
安全基準に適合したチャイルドシートはEマークがついている
R44のEマーク
R44のチャイルドシートには以下のようなEマークが表示されています。
R44では以下のように体重によってチャイルドシートを区分していました。
グループ | 体重 |
---|---|
0 | 10kg未満 |
0+ | 13kg未満 |
I | 9-18kgまで |
II | 15kg-25kgまで |
III | 22kg-36kgまで |
R129のEマーク
R129では身長によって区分し、さらに使用可能な最大体重を表記するように変更されています。R129で認可されたチャイルドシートには以下のようなEマークが貼付されていて、そこに身長の範囲と体重が表記されていますので、ご購入された際は確認するようにしましょう。
上のEマークの例では、
- アイサイズ汎用
- 身長40−70cm、体重24kg以下の子供が使用可能
- 認可した国識別番号は「1」(ドイツ)
- 認可番号は「018091」(最初の2桁は改訂番号)
- R129/01(R129の改訂1版)で認可されている
であることを表しています。
ちなみに、Eの右下の数字(1958 年協定締約国の識別番号)は現時点(2021年)では以下のような対応になります。
- ドイツ
- フランス
- イタリア
- オランダ
- スウェーデン
- ベルギー
- ハンガリー
- チェコ
- スペイン
- セルビア
- 英国
- オーストリア
- ルクセンブルク
- スイス
- (空白)
- ノルウェイ
- フィンランド
- デンマーク
- ルーマニア
- ポーランド
- ポルトガル
- ロシア連邦
- ギリシャ
- アイルランド
- クロアチア
- スロベニア
- スロバキア
- ベラルーシ
- エストニア
- (空き)
- ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
- ラトビア
- (空き)
- ブルガリア
- カザフスタン
- リトアニア
- トルコ
- (空白)
- アゼルバイジャン
- マケドニア旧ユーゴスラビア
- (空白)
- 欧州連合(承認は加盟国がそれぞれのECEシンボルで付与)
- 日本
- (空白)
- オーストラリア
- ウクライナ
- 南アフリカ
- ニュージーランド
- キプロス
- マルタ
- 韓国
- マレーシア
- タイ
- アルバニア
- (空き)
- モンテネグロ
- サンマリノ
- チュニジア
- グルジア
- エジプト
おすすめのチャイルドシートの選び方
1つのチャイルドシートで0ヶ月から12歳まで使用できるものはあまりなさそうですので、まずは交換タイミングを決めましょう。
日本の法律では6歳未満の子供はチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、身長が150cmになるまではシートベルトが安全に使用できないため、お子さんの身長が150cmに達する12歳頃までチャイルドシートやジュニアシートを使用する必要があります。
チャイルドシート交換のパターンは以下の3パターンに分けられるかと思います。
- ①新生児用、②幼児〜学童用の計2台
- ①新生児〜幼児用、②学童用の計2台
- ①新生児用、②幼児用、③学童用の計3台
どこまでコストをかけるか、安全性をどこまで重視するか、親戚・知り合いからお下がりで入手できそう、などケースバイケースで最適なパターンを選択しましょう。
国交省が自動車アセスメント事業を実施していて、市販のチャイルドシートについて前面衝突試験と使用性について評価試験を行い、その結果を安全性能評価として公表していますので、チャイルドシート選びの参考になります。
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