対象読者:プログラミング初心者〜中級者、MCP初心者、バイブコーディング初心者
「GitHub上での作業、いつも同じことの繰り返しで疲れませんか?」
複数のリポジトリを管理していると、イシューの作成、プルリクエストのレビュー、ブランチの作成など、似たような作業を何度も繰り返すことになります。
また、「MCPサーバーを使ってGitHubを自動化したい」と思っても、複雑なセットアップ手順を見て諦めてしまった経験はありませんか?
従来のMCPセットアップは、依存関係の管理や設定ファイルの編集など、初心者には高いハードルがありました。
この記事を読めば、たった30分でClaudeから自然言語でGitHub操作ができるようになります。
「新しいリポジトリを作成して、README.mdを追加してください」
「最近のイシューを分析して、優先度を整理してください」
といった指示をClaudeに出すだけで、面倒なGitHub作業が自動化されます。
なぜこれが可能なのか?
2025年にリリースされたDocker MCP Toolkitが、従来の複雑なセットアップを一変させたからです。
公式のGitHub MCPサーバーと組み合わせることで、クリック一つでセキュアな環境が構築でき、OAuth認証も自動で処理されます。
実際の手順、コマンド例、トラブルシューティングまで、すべて網羅した初心者向けガイドをお届けします。
1. はじめに:MCPとGitHub連携の魅力
1.1 MCPって何?
MCP(Model Context Protocol) は、AI(Claude)と外部ツールを繋ぐ「橋渡し」の役割を果たす革新的な技術です。
簡単に言うと、MCPはClaudeのようなAIが、GitHubやSlack、Jiraなどの様々なサービスと直接やり取りできるようにする仕組みです。
これまでAIは「提案する」だけでしたが、MCPによって「実際に作業を実行する」ことができるようになります。
1.2 GitHub MCPサーバでできること
GitHub公式MCPサーバを使うと、Claude経由で以下のような作業が可能になります:
- リポジトリ操作: 新規作成、ファイルの編集、ブランチ作成
- イシュー管理: 作成、コメント追加、ラベル付け、クローズ
- プルリクエスト: 作成、レビュー、マージ
- コード検索: リポジトリ内のコード検索、ファイル内容の確認
- CI/CD操作: GitHub Actionsワークフローの実行・監視
1.3 従来の方法との比較
従来の方法:
- (GUIの場合)GitHubのWebページを開く → 手作業でクリック → コピー&ペースト → 再度確認
- (CLIの場合)ターミナルからgitコマンドを実行→コマンドわからない時→Web検索
エラー発生時→対応方法を調査
ClaudeからMCP経由の方法:
- Claudeに自然言語で指示 → 自動で作業完了 → 結果を確認
エラー発生時→AIがエラーメッセージを見て、適切に対応
というように、効率性が格段に向上し、特に複数のリポジトリにまたがる作業や定型作業において威力を発揮します。
特に、Gitコマンドでエラーが発生した時や、やりたい操作に対応するコマンドを知らない時でもすぐに自然言語で指示できるので、とても効率的です。
2. 事前準備:必要なものを揃えよう
2.1 必要なアカウント・ツール
以下をあらかじめ準備してください:
- ✅ GitHubアカウント – https://github.com
こちらで無料の個人用アカウントを作成し、メール アドレスを検証してアカウントを作っておいて下さい。 - ✅ Claude Pro/Teamアカウント – MCPサーバーとの連携に必要です。Proアカウントは月額$20です。
- ✅ Docker Desktop – https://www.docker.com/products/docker-desktop/
こちらでPersonal:無料アカウントを作成しておいて下さい。 - ✅ 基本的なターミナル操作スキル – コマンドラインの基本操作をできるようになっておいて下さい。
コマンド | 説明 |
---|---|
ls | 現在のディレクトリ内のファイルとフォルダを一覧表示します。 |
cd [ディレクトリ名] | 指定したディレクトリに移動します。 |
pwd | 現在の作業ディレクトリのフルパスを表示します。 |
mkdir [ディレクトリ名] | 新しいディレクトリを作成します。 |
rm [ファイル名] | ファイルを削除します。 |
rm -r [ディレクトリ名] | ディレクトリを削除します. |
touch [ファイル名] | 新しいファイルを作成します。 |
open [ファイル名] | ファイルをFinderで開きます。 |
open -a [アプリ名] [ファイル名] | 指定したアプリでファイルを開きます。 |
2.2 GitHubトークンの準備
Personal Access Tokenの作成が必要です:
- GitHub右上のプロフィール → Settings
- 左メニューの Developer settings
- Personal access tokens → Tokens (classic)
- Generate new token → Generate new token (classic)
必要な権限(スコープ):
repo
– リポジトリへのフルアクセスworkflow
– GitHub Actionsワークフローへのアクセスread:org
– 組織の基本情報へのアクセス
⚠️ セキュリティ上の注意点:
- トークンは再表示されないため、必ず安全な場所に保存
- 定期的にローテーション(更新)することを推奨
- 不要になったトークンは即座に削除
2.3 環境確認
以下のコマンドで環境を確認してください:
# Dockerのインストール確認
docker --version
正常であれば、バージョン情報やコンテナ一覧が表示されます。
% docker --version
Docker version 28.3.2, build 578ccf6
3. Docker MCP Toolkitのセットアップ
3.1 Docker MCP Toolkitとは
Docker MCP Toolkitは、Docker公式が2025年に発表した革新的なツールです。従来のMCPサーバーセットアップの複雑さを解消し、クリック一つでMCPサーバーを起動できます。
主な特徴:
- ワンクリックでのMCPサーバー起動
- 内蔵されたセキュリティ機能
- OAuth認証の自動管理
- Docker Desktopとの完全統合
3.2 インストール手順
Step 1: Docker Desktopのアップデート
最新版のDocker Desktopをインストールしてください。
MCP Toolkitは比較的新しい機能のため、古いバージョンでは利用できません。
Step 2: MCP Toolkit拡張機能の有効化
- Docker Desktopを起動
- 左メニューから Extensions
- MCP Toolkit を検索してインストール
- インストール後、左メニューに MCP Toolkit が表示されることを確認
3.3 初期設定
Docker MCP Toolkitは、複雑な設定ファイル編集を不要にしています。
基本的にGUI操作のみで完了します。
4. GitHub MCPサーバの起動と接続
4.1 MCPサーバーの起動
従来の方法とDocker MCP Toolkitを使った方法の両方を紹介します。
方法1: Docker MCP Toolkit(推奨)
- Docker Desktop → MCP Toolkit
- Catalog タブ → GitHub Official を検索
- Add ボタンをクリック
- 自動的にMCPサーバーがダウンロード・起動される

方法2: Docker CLI
docker run -i --rm \
-e GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN=your_token_here \
-e GITHUB_TOOLSETS="repos,issues,pull_requests,actions" \
ghcr.io/github/github-mcp-server
4.2 認証設定
OAuth認証(推奨方法):
- MCP Toolkit → OAuth タブ
- GitHub エントリで Authorize をクリック
- ブラウザでGitHub認証ページが開く
- Authorize Docker をクリック
- 自動的にDocker Desktopにリダイレクト
環境変数での認証:
Personal Access Tokenを直接設定する場合:以下の内容を.envに追記する
GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN=ghp_your_token_here
4.3 動作テスト
MCP Toolkitの Status タブで以下を確認:
- ✅ GitHub MCPサーバーが Running 状態
- ✅ 認証が Connected 状態
- ✅ 利用可能なツール一覧が表示される
5. Claudeとの接続設定
5.1 Claude Desktop設定
方法1: MCP Toolkit経由(最も簡単)
- MCP Toolkit → Clients タブ
- Claude Desktop を検索
- Connect をクリック
- 設定が自動的に適用される

方法2: 手動設定
Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json
)を編集:
{
"mcpServers": {
"github": {
"command": "docker",
"args": [
"run", "-i", "--rm",
"-e", "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN=your_token",
"ghcr.io/github/github-mcp-server"
]
}
}
}
5.2 接続確認
Claude Desktopを再起動し、新しいチャットで以下を試してください:
私のGitHubリポジトリ一覧を表示してください
正常に動作していれば、Claudeがあなたのリポジトリ一覧を取得して表示します。
6. 実践!GitHub操作をClaude経由で実行
6.1 基本操作の例
リポジトリ操作
新規リポジトリの作成:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
"test-mcp-demo"という名前のパブリックリポジトリを作成してください。
説明は"MCP demo repository"としてください。
ファイルの作成・編集:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
先ほど作成したリポジトリに、README.mdを作成して、
プロジェクトの概要を記載してください。
イシュー管理
イシューの作成:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
test-mcp-demoリポジトリに、以下の内容でイシューを作成してください:
- タイトル: "初期セットアップのドキュメント作成"
- 内容: "プロジェクトの初期セットアップ手順をドキュメント化する"
- ラベル: "documentation", "enhancement"
プルリクエスト
ブランチ作成とPR:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
1. test-mcp-demoリポジトリで"feature/setup-docs"ブランチを作成
2. docs/setup.mdファイルを作成して、セットアップ手順を記載
3. mainブランチに向けてプルリクエストを作成
6.2 実用的なユースケース
バグレポートの自動分析:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
最近作成されたイシューの中で、"bug"ラベルが付いているものを
分析して、共通する問題がないか調べてください。
コードレビューの支援:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
PR #123のコード変更を確認して、
セキュリティ上の問題や改善点があれば教えてください。
ドキュメント生成:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
このリポジトリのAPIエンドポイント一覧を調べて、
RESTful APIのドキュメントを生成してください。
7. トラブルシューティング
7.1 よくあるエラーと解決法
認証エラー
エラー: Authentication failed
解決法:
- Personal Access Tokenの有効性を確認
- 必要な権限(スコープ)が設定されているかチェック
- トークンの期限が切れていないか確認
接続エラー
エラー: Failed to connect to MCP server
解決法:
- Docker Desktopが起動しているか確認
- MCP Toolkitでサーバーが Running 状態か確認
- Claude Desktopを再起動
権限エラー
エラー: Insufficient permissions
解決法:
- GitHubトークンの権限を再確認
- プライベートリポジトリの場合、適切なアクセス権があるか確認
7.2 ログの確認方法
MCP Toolkitのログ:
- MCP Toolkit → Logs タブ
- GitHub MCPサーバーのログエントリを確認
Dockerコンテナのログ:
# 実行中のコンテナを確認
docker ps
# 特定のコンテナのログを確認
docker logs <container_id>
7.3 設定の見直しポイント
- トークンの確認: GitHub Settings → Developer settings でトークンが有効か確認
- ネットワーク設定: 企業ファイアウォールがDocker通信をブロックしていないか
- バージョン確認: Docker Desktop、Claude Desktop、MCP Toolkitが最新版か
8. セキュリティとベストプラクティス
8.1 トークン管理
安全な保存方法:
- 環境変数での管理(平文での保存を避ける)
- パスワード管理ツールの活用
.env
ファイルを.gitignore
に追加
定期的なローテーション:
- 3ヶ月に1回のトークン更新を推奨
- 不審なアクセスがあった場合は即座に更新
8.2 Docker環境のセキュリティ
コンテナの分離: Docker MCP Toolkitは以下のセキュリティ機能を内蔵:
- CPU使用量制限(1 CPU)
- メモリ制限(2 GB)
- ファイルシステムアクセス制限
- ネットワーク分離
定期的なアップデート:
# MCPサーバーイメージの更新
docker pull ghcr.io/github/github-mcp-server
9. さらなる活用法
9.1 他のMCPサーバーとの組み合わせ
Docker MCP Toolkitでは複数のMCPサーバーを同時に利用可能:
- Slack MCP Server: チーム通知の自動化
- Jira MCP Server: プロジェクト管理の連携
- AWS MCP Server: インフラ管理の自動化
9.2 ワークフローの自動化例
毎日のタスク管理:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
今日のGitHubイシューを確認して、優先度順に整理し、
Slackで進捗をチームに共有してください。
CI/CDパイプライン管理:Claudeデスクトップで以下の指示を入力
最新のGitHub Actionsワークフローの実行結果を確認し、
失敗したジョブがあれば原因を分析してください。
9.3 チーム開発での活用
設定の共有: Docker MCP Toolkitの設定はチーム間で共有可能です。統一された環境でMCPサーバーを利用できます。
協働作業の効率化:
- コードレビューの自動化
- ドキュメント生成の標準化
- イシュー管理の効率化
10. まとめ
10.1 学んだことの振り返り
この記事では以下を学びました:
- MCPの基本概念: AIとツールを繋ぐ革新的な技術
- Docker MCP Toolkit: 簡単セットアップを実現する公式ツール
- GitHub MCP Server: GitHub操作をAI経由で実行
- 実践的な使用方法: 具体的なコマンド例と活用法
- セキュリティ: 安全な運用のためのベストプラクティス
10.2 次のステップ
MCPの世界はまだ始まったばかりです。以下のステップで学習を続けてください:
- 他のMCPサーバーを試す: AWS、Slack、Notionなど
- カスタムワークフローの構築: 自分の作業に合わせた自動化
- コミュニティへの参加: 最新情報とベストプラクティスの共有
11. 参考資料・リンク集
11.1 公式ドキュメント
- MCP公式サイト: https://modelcontextprotocol.io/
- GitHub MCP Server: https://github.com/github/github-mcp-server
- Docker MCP Toolkit: https://docs.docker.com/ai/mcp-catalog-and-toolkit/
- Docker MCP Catalog: https://hub.docker.com/mcp
11.2 関連リソース
- Claude Desktop: https://claude.ai/download
- Docker Desktop: https://www.docker.com/products/docker-desktop/
- GitHub Personal Access Tokens: https://docs.github.com/en/authentication/keeping-your-account-and-data-secure/creating-a-personal-access-token
11.3 コミュニティ・サポート
- MCP Discord: 技術的な質問や情報交換
- GitHub Issues: バグレポートや機能要望
- Docker Community: Docker MCP Toolkitに関する議論
最終更新: 2025年8月14日 対象バージョン: Docker MCP Toolkit v1.0+, GitHub MCP Server v1.0+
この記事の内容は急速に進歩する技術領域を扱っているため、最新の公式ドキュメントも併せてご確認ください。